●漫画・・ 「ミサイルマン・マミー」


宇宙電子光学理論でノーベル賞まで取った天才科学者、湯原博士は、ノーベル賞受賞の報告を田舎に住む家族に知らせようと、故郷への帰路に着いていたが、故郷への近道である、山道を歩いているときに、実家の方角からの怪音を聞く。もしや、と危機感に煽られ帰路を急ぐが、土砂崩れで間に合わず。博士が実家に着いたときは、故郷の家は跡形もなく土砂に埋まっていた。家族を失った無念さから、ノーベル賞まで取った専門科学を捨て、その後は、対自然災害の科学の研究に没頭した。博士の強い思いは、自分の研究する科学の力で、自然を征服し、逆に、人間が自然を自由自在に操れるようにしてしまおう、という確固たる信念だった。湯原博士は助手の英太郎少年の協力と共に、対自然災害用のスーパーロボット、ミサイルマン・マミーの製作に成功した。

ミサイルマン・マミーは、その成功実験で、自由に大空に雨や雪を降らせ、マミーの能力で天候をコントロールできた。マミーは、湯原博士と英太郎少年の乗る、乗用車のボンネット内に格納される。折りしも、近くの民家の大きな火災のニュースを知る。博士は英太郎少年に指示して、乗用車内に格納されたスーパーロボット、マミーを出動させる。火災現場へと飛んで行く、ミサイルマン・マミー。

大火災の現場上空に到着したマミーは、全身を使って、現場周囲の空気を吸引して炭酸ガスを排出し、火の燃える力を奪い、火災を鎮めた。そして家事から逃げ遅れた子供を救出する。



山間部でのマミーの実験のときから、湯原博士と英太郎少年を密かに着けていた謎の男は、ジェット戦闘機の編隊を呼ぶ。ジェット機編隊に追われ、捕縛されそうになるマミーだったが、マミーが逃れる内に一機のジェット機が山肌に激突し、隊員がパラシュートで避難する。無益な戦いをしたくない湯原博士は、マミーを自動車に格納する。謎の大型ヘリに捉えられ、マミー、湯原博士は自動車ごと、拉致されて連れて行かれる。

謎の男とジェット機の編隊は、実は日本の自衛隊だった。自衛隊の基地内で、湯原博士とマミーに難事件の解決に協力を要請される。難事件を起こす謎の敵は、XE作戦と称して国内の軍事基地を、謎の攻撃力を使って襲撃して来ている。謎の敵からまた、軍事基地襲撃の予告が入った。危急の事態に、自衛隊の協力要請を受諾する湯原博士。

悪者のXE作戦とは、自衛隊の戦闘機や戦車や護衛艦を空気の超圧力を掛けてぺしゃんこに潰して回り、国内の軍事基地に大打撃を与えることだった。湯原博士の前に突然、死んだ筈の天才科学者、牧博士が現れた。軍事基地に大打撃を与えて回っているのは、牧博士の作った巨大怪ロボットで、そのロボットは超高圧力の気体を噴出して、軍事基地の戦闘機や軍艦などを潰して、基地を破壊して回っているのだった。

牧博士の思想は、全世界から武器という武器がなくなれば、戦争は起こらなくなるから、世界中の武器を次々と壊して行く、という考え方で、それを実行して日本国内の基地から潰して回っているのだった。牧博士は湯原博士に、マミーを使って、牧博士の怪ロボットと一緒に世界の基地を破壊して回ろう、と牧博士の思想と行動に賛同・協力を迫るのだった。
湯原博士は牧博士の要請を断り、湯原博士と英太郎少年のマミーは、超圧力気体を操り何でも潰してしまう、牧博士の巨大怪ロボットと戦うことになる…。

上記の物語あらすじは、「ミサイルマン・マミー」の第一話、「黒い怪ロボット編」の内容の前半部分です。「ミサイルマン・マミー」のエピソードで、小学生時分の僕が記憶に残っていたシーンは、少年の飼っているかぶと虫がもの凄くでっかくなる、「巨大ビートル編」の断片や、第三話の超高熱(レーザー)を発射する殺人ロボット、フラッシャーが登場して、マミーと一騎撃ちしたり、透明ロボットの登場する第三話のシーンが、子供の頃の僕には印象に残っていましたね。何でもドロドロに溶かしてしまうフラッシャーは強敵でした。

傑作SF ロボット活劇漫画「ミサイルマン·マミー」は、講談社の週刊少年マガジン1966年第6号から連載が始まり、同誌同年51号まで連載が続きました。マガジン誌上ではマミー以前に、当時、魔球漫画の代名詞となった、大人気傑作野球漫画「黒い秘密兵器」を、1963年第19号から65年50号まで長期連載していました。マミーの後はマガジン誌上では、67年11号から「キングコング」の連載が始まり、同年41号まで続きました。一峰大二先生の週刊少年マガジンでの連載はこの三つかな。他に、週刊マガジンや月刊の別冊少年マガジンの読み切り短篇の掲載はいっぱいありますが。

「ミサイルマン·マミー」は原作が久米みのる氏で、漫画の作画が一峰大二氏です。一峰大二先生は1950年代から活躍されてる漫画家で、50年代~70年代の少年向けヒーロー漫画の作品数はもの凄い数があります。一峰大二先生の異名は「コミカライズの王様」という称号があるくらいに、TV 放映の子供向けの特撮ヒーローものや怪獣もののタイアップ漫画作品の本数が桁外れに多い。50年代後半のTV 黎明期の子供向けヒーローもの時代から、当時の少年誌人気連載のTV コミカライズ漫画の本数がいっぱいあり、60年代にはコミカライズ漫画の作品数はさらに増えて、70年代でもTV 特撮のコミカライズ漫画を何本も雑誌連載を描かれてました。

2004年発刊のマンガショップ復刻版「ミサイルマン·マミー」の腰巻きオビには、「コミカライズの神様」との称号が掲げられていますね。実際、一峰大二先生のコミカライズ作品を挙げて行くと、1959年の「スーパージャイアンツ」「七色仮面」「卜伝くん」に始まり、「ナショナルキッド」「ウルトラマン」「黄金バット」「ウルトラセブン」「タイムトンネル」「ジョー90」「ガメラ」「ゴジラ対ヘドラ」「スペクトルマン」「月光仮面」「怪傑ライオン丸」「ミラーマン」「イナズマン」「タイガーセブン」「電人ザボーガー」「ウルトラマンレオ」「メカゴジラの逆襲」「コンバトラーV」…と、76年までズラリと長篇·短篇のコミカライズ作品が続きます。「黄金バット」などアニメのコミカライズもありますが、実写特撮ヒーローもののコミカライズ作品が多いですね。特に50年代末から60年代いっぱいを通して、一峰大二先生のヒーロー漫画は人気が高かった。僕が実際読んだのは71年、週刊少年チャンピオン連載の「スペクトルマン」までかな。


「ミサイルマン・マミー」の原作担当になる、久米みのるさんという方は、僕は小学生時代に読んだ児童漫画雑誌の原作クレジットでよく見掛けました。主に少年漫画のSF作品です。主に60年代前半かな。60年代も後半になると、漫画原作ではあまり目にしなくなった。ネットでプロフィルを調べてみると、本名は久米穣氏で、「穣」の字、一字で「みのる」と読ませるようですね。僕の小学生時代、少年雑誌でよく原作者で名前を見掛けた気がしていたのですが、漫画原作はそれ程は多くないようですね。どちらかというと本業は、少年・少女向けの海外文学の翻訳のようです。海外の冒険小説、推理探偵小説、SF小説などの少年・少女向けの翻訳が、専門と言っても良いくらいに、翻訳本がたくさんありますね。相当な数です。「再話」という仕事が多く、「再話」とは、昔話や伝記や伝説、世界の名作文学を子供向けに易しく書き直した小説などですね。翻訳もの主体の児童文学者といっても良いのかも知れない。

漫画原作を見ると、「マッハ三四郎」「消える快速車」「少年スピード王」「ゼロバイ」「東京Zマン」「ロボット長島」「ミサイルマン・マミー」…。こうやって見るとマガジン掲載が多い。マガジンの「マッハ三四郎」は知ってたし、「ゼロバイ」「ロボット長島」「ミサイルマン・マミー」は当時のマガジン連載リアルタイムで読んでいます。「ミサイルマン·マミー」はスーパーロボット·空中戦バトル漫画で、もろSF ヒーロー漫画ですが、「マッハ三四郎」はバイク·アクション漫画だし、「ゼロバイ」は登場するスーパーバイクが遠隔操縦型の自立バイクで、無人で走るバイクがロボットバイクだということがSF 的だ、ということくらいで、別に未来や宇宙や超能力とかが出て来るベタSF ではない。「ロボット長島」も長島選手の影武者的なロボットが登場するだけで、あとは普通に野球漫画だった。SF といっても現代劇アクションでしたね。

「ミサイルマン・マミー」と聞くと、僕は子供の頃よく食べていたビスケット、マミー・ビスケットを思い出すんですが、「ミサイルマン・マミー」が使われていた、というかタイアップで雑誌の裏表紙などの広告に載っていたマミーのは、乳酸菌飲料の森永マミーでした。森永マミーとタイアップということは、同じ一峰大二先生の「電人アロー」が田辺製薬のアスパラとタイアップしていて、TVアニメ放送の企画があったけど消滅したように、「ミサイルマン・マミー」も森永製菓提供でTV放送の予定があったけど、ポシャッたのでしょうか?よく解りませんけど。


ちなみに僕が子供の頃食べてた安価なビスケット、マミーはパラフィン紙みたいな紙包みのパッケージで、円筒状に包んだ中に丸いビスケットが15枚か20枚くらい入っていました。子供の頃は、安いお菓子だったのでよく買って食べてました。僕はてっきりマミー・ビスケットも森永製菓の商品だと思い込んでいたら、違ってました。僕の食べてたマミービスケットが何処の商品か解らないのですが、調べてみると、パッケージが違うけれど、「マミー」という名の商品名のビスケットは以前、カバヤから出てたようです。

「ミサイルマン・マミー」の主人公は、英太郎少年の操縦に寄るとはいえ、対災害用に作られたスーパーロボットのマミーです。マミーという名で思い出すのは、マミービスケットもそうですが、ミイラ男の“ザ・マミー”ですね。60年代に日本にも来たことのある悪役レスラー。全身を汚れた包帯で巻いた怪奇レスラー。あの、コスチュームはどうやってたんだろうな。まさか、イチイチ試合の度に包帯を巻いていた訳でもあるまい。表面を包帯様に覆ったコスチューム服だったのかな?

僕はザ・マミーの試合は一度も見たことはなかったけど、小学生時代、漫画雑誌の情報とかで、ザ・マミーの存在は知ってました。子供の頃はプロレスのリアリティーを信じきっていたので、悪役レスラーのマミーは恐怖的な存在でしたね。プロレスのマミーの由来は米国制作の怪奇映画の「ミイラ男」からです。

50年代後半から60年代に、たくさんのアメリカ製の怪奇映画が日本に入って来て上映され、後にTVでも放送されました。日本公開用のタイトルは「ミイラ再生」だけど、アメリカでの原題は「ザ・マミー:The Mummy」です。リメイクの「ミイラの幽霊」も原題はザ・マミーだし。40年代から60年代の英米怪奇映画の主役は、ドラキュラやフランケンシュタイン、狼男ですが、ミイラ男も三大怪奇スターに並ぶ恐怖映画界のスターでした。

アメリカ怪奇映画の「ミイラ男」のシリーズも続編とかリメイクとか、けっこう数、作られてますね。僕はこの時代の英米怪奇映画を映画館で見たことはないけど、TVの洋画劇場でよく見ました。怖かったです。僕の小学校上級頃の時代、TV番組で、タイトル「ショック」というアメリカの怪奇映画をTV放映するシリーズ番組があって、この「ショック」の中でも「ミイラ男」の映画を放送してました。当時はこの番組を見ると怖くて怖くて眠れなくなるんだけど、怖いもの見たさで毎週見てました。怖かったなあ。土曜か日曜の夜だったと思うんだけど。土曜の夜10時頃から放送だったかな?確か、全薬興業の提供だったように思うけど。金曜の夜だっけかな?はっきりは思い出せない。

ネットで調べたら、ど~も、TV の怪奇映画劇場の「ショック」は、1964年の放送らしい。64年は僕はまだ八歳だなぁ。そんな小さかったかな?このネット情報では「ショック」で放映された怪奇映画はだいたい1930年代に作られた劇場映画を、日本でTV 放送するにあたり、一時間番組に編集し直したものなんだとか。1930年代制作とか、アメリカって進んでたんだなぁ。そりゃ戦争負けるよ。

アメリカの悪役プロレスラー、ザ・マミーも、当時の少年漫画誌の記事やプロレス漫画の題材でよく紹介されました。僕の記憶にあるのは、1970年の別冊少年マガジンで掲載された、大増ページ読みきり漫画のシリーズで、三本とも真樹日佐夫氏の原作による、怪奇レスラー漫画の三つの中の1本、ザ・マミーを取り上げて描いた漫画、確か、作画は影丸譲也氏だったと思うけど、タイトルは「地獄のミイラ」だったかな?何だったかな?忘れた(別冊少年マガジン1970年1月号『地獄の使者ミイラ男』)。ミイラ男は当時の月刊・冒険王にシリーズ連載されてた、同じく真樹日佐夫氏・原作で一峰大二氏の作画による「プロレス悪役シリーズ」でも取り上げて描いてたんじゃなかったかな(?)。
「ミサイルマン・マミー」のマミーと、アメリカ怪奇映画のザ・マミーや昔のプロレスの悪役レスラーのザ・マミーとは、何の関係もありません。しかし、原作担当の久米みのる氏は、どうして対災害用のスーパーロボットの名前を「マミー」にしたんだろ?ミイラ男とは全然関係ないし、率直にいうとマミーって「お母さん」だよな。

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園田光慶先生が貸本時代の執筆名、ありかわ栄一名義で週刊少年キングに連載した柔道劇画、「車大助」はキングの1963年21号から64年30号まで連載された熱血柔道漫画ですが、この作品は原作付きだとは憶えてたけど、原作者は久米みのる先生だったんですねぇ。久米みのる先生の原作だとは憶えてなかった。「車大助」が、園田光慶先生が貸本ではなく市販の児童漫画雑誌に連載を持った、最初の作品なんじゃないかな。柔道の国際試合で主人公が対決する怪人柔道家が、ソ連のサンボ出身の選手で、大助が組んだとたん、凍りつかせるような冷気を発する怪物みたいな柔道選手だったシーンだけは、何か記憶してる。柔道漫画だけど、まるでSF 超能力バトル漫画みたいに、怪人選手が登場して戦ってた。

ネットで調べたら、週刊少年キング誌上では、この後も久米みのる先生は園田光慶先生と組んで連載を持ってますね。キング64年31号からは同コンビで39号まで「巨人ジャンロ」、同64年41号から52号まで「ホームラン探偵局」と、64年いっぱいまでキング誌上にコンビ作を連載しています。いずれにしても久米みのる先生の漫画原作は、60年代前半が多く、60年代後半に入ると原作漫画作品を見なくなるなぁ。少なくとも僕は久米みのるさん原作の漫画を60年代後半に読んだ記憶はないかなぁ。

キング連載の「巨人ジャンロ」も「ホームラン探偵局」も、ありかわ栄一名義ですね。タイトルは覚えてるし、多分、子供の頃読んでるんでしょうが内容はほとんど記憶してないですね。執筆名に園田光慶名義を使い出すのって66年くらいからかな?僕は子供時代、漫画週刊誌はマガジン·サンデーは毎週欠かさずくらいの勢いで読んでたけど、少年キングは毎号とは行かず、飛び飛びみたいになってたからなぁ。「車大助」「巨人ジャンロ」「ホームラン探偵局」は全編完読はしてないな。

「ミサイルマン·マミー」第一話の「黒い怪ロボット編」の敵役というか、物語悪者の牧博士の悪だくみって、地球上から戦争をなくすためには世界中の兵器と武器をなくしてしまえばいいんだ、という考えは、その思想そのものは理想的な良い考えですよね。今現在も休むことなく地球の何処かで必ず続いている戦争や紛争も、人間が兵器や武器を持たず使えなければ、戦争といってもただの殴り合い、喧嘩になる訳ですから。喧嘩で終わる。せいぜい使っても棍棒持つくらいのものでしょう。戦争·紛争に比べればもの凄く被害が少ない。被害は、ひょっとしたら死者さえ出ないかも知れない。世界中から戦争をなくすためには、兵器·武器をなくせれば理想的ですね。
問題はその方法で、実際、そんな方法はないでしょうし、昔のSF 漫画に“鉄喰いロボット”とか出て来てたけど、“鉄喰いバクテリア”みたいなものを世界中に大量にばら蒔けば、兵器や武器はだいたい金属でできてるから、世の中の戦争兵器を無力化できるかも知れない。でも、兵器や武器以外も無力化して人間が文化的生活をおくる上でもの凄く困ることになる、という致命的欠点がある。人間の血液中にも鉄成分があるから、人体にさえ影響が及んでしまう。まぁ懲りない人間は金属製が駄目なら、強化プラスチックとか非金属製の武器を作ってしまうでしょうからね。
物語での牧博士のやり方は、取り敢えず片っぱしから兵器を破壊して回ろうと、先ず自衛隊基地の軍艦や戦車から、巨人ロボットの生み出す高圧力空気で押し潰して回る訳だけど、兵器や軍事基地を壊すと同時に、そこに居る人々を一緒に殺してしまう訳だから、いくら相手の大半が自衛隊員や軍人でも、これは大量殺戮の重大な犯罪ですね。とりもなおさず、牧博士の使う巨人怪ロボットそのものが、一つのスーパー兵器な訳ですからね。実際の戦争も、テロという戦争を仕掛けられて、テロとの戦いと言って戦争で応える。テロを制圧できるのは、数多くの犠牲者の出る戦争しかない。何かやりきれないですね。果てしなく続く殺し合い…。
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