月光仮面-The Moon Mask Rider


戦後日本初と言っても過言ではない、戦後の代表的なヒーロー、月光仮面。オリジナル「月光仮面」の放送は、1958年から59年ですから、この時期、僕は3歳ですので、放送後半部をかろうじて見てるのかどうか。まあ、見ていても僕の記憶には残っていなくて、僕はオリジナル「月光仮面」のTV放映を憶えてますから、これは多分、再放送の分を見て憶えてるんでしょう。僕が最初に記憶に留めたヒーローは、SFヒーローものの「ナショナルキッド」の方でしょう。
戦後初のヒーローというと、劇場映画版の「スーパージャイアンツ」と、どっちが先かと考えますが、「スーパージャイアンツ」の映画の劇場公開が1957年7月末で、TV放映の「月光仮面」の初放送が1958年2月中旬ですから、映画の「スーパージャイアンツ」の方が先になるんですね。「スーパージャイアンツ」はSFヒーロー映画で、主人公は宇宙人でしたが、月光仮面は宇宙人という設定ではなくて、“正義の味方”ですが、“月よりの使者”という呼び名もあるから、月ということはやっぱり宇宙人なのか?普段は祝十郎という探偵で人間ですが、月光仮面の能力は人間離れしてましたね。当時の特撮技術の限界もあるんでしょうが、「トオッ!」と掛け声を上げてジャンプすると、突然消えたりしてた。空は飛べないけど、一跳び10メートルか20メートルくらいの大ジャンプが出来てましたね。基本的にバイクに乗って現れて、二挺拳銃でバンバン撃つ攻撃法。拳銃は、命を取らずに威嚇か相手の武器をピンポイントで撃って撥ね落とす。

「月光仮面」の生みの親、原作者である川内康範先生の作るヒーローは、宇宙人とか超能力者だとかいう、出自がはっきりしませんね。明らかに人間離れした超人的な能力の持ち主だけど、姿形そのものも覆面とか仮面を被って全身コスチュームだし、正体が何者なのかはっきりしていない。ほとんどのヒーローが、普段の姿は普通の人間として生活していて、人間の姿のときは特段超能力的な力はない。仮面コスチュームの姿になったとき、人間離れした凄い力を発揮する。
川内康範先生の生み出したヒーローは、TV 黎明期の「月光仮面」「七色仮面」「アラーの使者」、漫画原作の「太陽仮面」、昭和中後期の「レインボーマン」「ダイヤモンド·アイ」「コンドールマン」と全部、等身大の変身·仮面ヒーローですね。川内康範さんの物語作りには、ベースに流れる仏教思想があるようですね。月光仮面も、月光菩薩の化身だと言うし。「月光仮面」の一つのテーマが「憎まず殺さず許しましょう」だし。月光仮面も七色仮面も二挺拳銃バンバン撃つけど、威嚇か相手の持つ拳銃を撃ち落とすだけだし。あれって、手を撃ってるのかな?拳銃だけをピンポイントで撃ってるのかな?手を撃たれた悪人もそんなに痛そうにしてないから、やっぱり拳銃だけ撃ってるのか。あの時代のヒーローものは跳弾とか無視ですね。

あー、川内康範先生の作品にそこはかとなく仏教思想が窺えるのは、川内康範さんの生家はお寺なんですね。お寺の息子。どおりで。川内康範さんは、何か、正義感の強い清廉潔白な人、ってイメージでしたね。一本筋の通った硬骨漢という感じかな。歳取ってからは人格者って感じで。僕は子供の頃から少年後期までずっと、「月光仮面」「七色仮面」「アラーの使者」「レインボーマン」「ダイヤモンド·アイ」というヒーローたちに憧れたなあ。川内康範先生の作り上げた、正義のヒーローと、その世界観に憧れまくっていた。
漫画版「月光仮面」と同じく、川内康範·原作で作画·桑田次郎のコンビで、1966年の月刊誌·ぼくらと週刊少年マガジンに同時連載していた「黄色い手袋X-エックス-」にも当時熱狂してた。
「月光仮面」のオリジナルドラマ最初のTV 放送は、1958年2月から59年7月までの毎週放送で、この分はその後、何度も再放送されました。劇場版映画は当時の東映が、TVドラマと同じストーリーで、主演俳優など 映画用に配役を変えて、ドラマを作り直して全国劇場公開しました。東映で58年59年に6作品制作して公開しています。「月光仮面」初のアニメ化は、72年に1月から10月まで全39話を、当時の日本テレビ系列で放送されました。アニメ版は、主役ヒーローのフォルムが少々変更されていて、全身白づくめのコスチュームにサングラスは変わりませんが、頭がターバンでなく薄手の白いヘルメット着用ですね。フルタイトルは「正義を愛する者-月光仮面」となっていますね。バイクもだいぶカッコ良くなってる。
僕は東映の映画版は全く見たことないのですか、TV ドラマの方は再放送で見ています。TV アニメ版放送のときは僕はもう高校生になっていて、毎週毎回は見てないけど、放送分の3分の1くらいは見てると思う。さすがに僕も高校生の年齢になると、アニメのヒーローものをそんなに熱中しては見てないですね。でもアニメ版「月光仮面」を見た記憶は確かに持ってます。どっちかと言うと、アニメ放送に連動して当時の週刊少年キングにタイアップ連載されてた、みね武·作画の漫画版「月光仮面」を読みたかった。当時はなかなか少年キングは読めなかったからなあ(貧乏だったから)。

1950年代末から20年以上経ってから、新たに実写版の「月光仮面」が劇場用映画として作られました。1981年公開の「月光仮面-The Moon Mask Rider」です。主役の月光仮面は警察を助け悪を叩く正義の味方ではあるのですが、この時代の現代ふうに少々キャラ変更してますね。肩書きが“正義の味方”から“愛の助っ人”に変更されている。何か、漫画の「ワイルド7-セブン-」の影響受けてるのかなあ(?)、キャラがちょっとワイルドでドライな感じになってて、昔のドラマや映画よりもバイクアクションシーンが多い。悪の組織の盗賊団が銀行強盗などで盗んだ大金を、月光仮面が奪い返すのですが、その内10%を手数料のように勝手に戴いて、九割は強盗被害者に戻す。そして人間の姿のときに、貧しさに困窮しているような人たちに、その10%のお金を施して回っている。普通の人間の格好のときの姿は、はっきりとは映さないのですが。いわゆる“義賊”みたいな活動ですね。
81年映画作品版の敵側の悪の組織は、怪しい宗教団体。宗教団体の名を借りた凶悪犯罪組織、ニューラブカントリー。世の中に不満や疑問を持ってたり、自分の人生に迷っている多くの若者たちを勧誘して、間違った思想を吹き込み、とある小さな無人島に集めて集団生活をさせて、実は嘘っぱちのユートピア建設を促す。宗教団体としての活動の裏で、精鋭部隊を組んで銀行強盗や資産家の大金を狙ったり、凶悪犯罪を重ねて巨額の金を集めている。警察の捜査が活発になり組織が危うくなると、ユートピア建設と騙して集めた若者たちを、いとも簡単に毒殺して始末してしまおうとする。この、警察の捜査の手も追い付かない、宗教団体の名を借りた凶悪犯罪組織を、たった独りで襲撃し、大きなダメージを与える謎の白装束の義賊が、“愛の助っ人”月光仮面。

世紀の凶悪犯罪者・麻原彰晃がオウム心理教を設立したのが1987年で、変死事件や殺害事件など、この宗教団体周辺でキナ臭いコトゴトが起こって来るのが88年89年くらいから。オウム心理教がオウム心理党を名のり、教会幹部を立候補させて衆議院選挙に臨んで全敗したのが1990年。松本サリン事件を起こすのが1994年。地下鉄サリン事件で市民の大量殺害という凶悪犯罪を起こすのが1995年。警察の捜査が本格的に教団内に入るのも95年のことですね。81年映画版「月光仮面」で、ヒーローの対敵の悪の組織が、ニューラブカントリーという名の、表向きは宗教団体であり、教会信徒に、若者たちを信者として集めるケースなどや、宗教団体の顔の裏側で国家転覆を狙う政治的凶悪思想など、この映画公開から約10年後に実際に起き始める、オウム心理教に寄る数々の凶悪犯罪事件を、まるで予言しているようなストーリー内容ですね。まあ、確かに70年代頃からポツポツと、いわゆる新宗教と言われる、新たな宗教団体が現れ始めてはいたし、また、海外での宗教団体を標榜した組織での犯罪事件も起こったりはしていたので、この時代の一つの現象としては、映画の内容に影響を与えるようなコトゴトが、実際にあったことは事実なんですが。
「月光仮面-The Moon Mask Rider」の主題歌は、映画冒頭で、山中を切り開いた見通しの良い高速道路を、バイクで突っ走る月光仮面の姿に被せて、50年代末のレジェンド・オリジナル「月光仮面は誰でしょう」の歌を、オリジナル版と同じく児童合唱団の歌唱で流すのですが、エンディングはこの映画に際して新たに作られた、バンド演奏のロック版「愛の助っ人-月光仮面」が流れます。ノーザンライツというグループのロック版「月光仮面」の歌は、アップテンポでカッコ良い曲です。僕は、この曲、好きでしたね。この81年版「月光仮面」のDVD・ブルーレイ化発売は、2016年1月なんですね。
ノーザンライツの「愛の助っ人-月光仮面」は劇中でも、物語進行の中で月光仮面が現れて世間で評判になり、ライブハウスだったか若者が踊るディスコみたいなトコだったか、はっきり憶えてないけど、何か割りとこじんまりとしたステージで、バンド演奏で歌唱される。あのバンドがノーザンライツなんでしょうね。歌詞も曲もカッコ良い。

◆月光仮面 [DVD] 桑原大輔 (出演), 志穂美悦子 (出演) 形式: DVD
◆月光仮面 宣弘社75周年記念パッケージ(DVD全巻+宣弘社フォトニクル) 大瀬康一 (出演), 谷幹一 (出演), 船床定男 (監督) 形式: DVD
◆ 月光仮面 第3部 マンモス・コング篇 バリュープライスセット(3巻組) [DVD] 大瀬康一 (出演), 船床定男 (監督) 形式: DVD
◆月光仮面〔完全版〕―正義の章―【上】 (マンガショップシリーズ 324) 単行本(ソフトカバー) 川内康範 (著), 桑田次郎 (著)
◆月光仮面 【みね武版】 (マンガショップシリーズ) 単行本(ソフトカバー) 川内康範 (著), みね武 (著)
◆月光仮面―恐怖の秘密兵器 単行本 川内 康範 (著)

81年映画版「月光仮面」の中のヒロイン役は、志穂美悦子さんですね。ヒロインといっても敵側に居て、敵側というか、宗教団体を標榜する犯罪組織の精鋭部隊の一員として、銀行強盗などの犯罪を働いているのですが、孤児だった小さい頃に、教団主催の表向きは神父の格好した、実は凶悪犯罪組織の親玉オヤジに拾われて、育てて貰った恩があり、悪の首魁の言いなりに犯罪を働いている。最後はこの親代わりだった凶悪神父に拳銃で撃たれて殺される。この時代の志穂美悦子さんは女優としては引っ張りだこ状態で、超売れっ子女優ですね。もともと千葉真一主催のJACに所属していたので、千葉真一カラテ·アクション映画には必ず出演してたし、また当時、世界的に大人気でブームだったカラテ·拳法アクション映画で、国産アクション映画の主演を何本も勤めてました。また、つかこうへい脚本·監督の角川映画「二代目はクリスチャン」の主演など、話題映画の主演から、当時のTV ドラマにも主役級で出てましたね。あ、済みません。「二代目はクリスチャン」の監督は井筒和幸さんですね。つかこうへいさんは原作小説を書いてるんですね。
1972年TV 放映のアニメ版「月光仮面」の主題歌は、歌詞そのものはオリジナルの「月光仮面は誰でしょう?」なんだけど、曲の方は全く違う曲になっていて、曲調はこの時代の現代風にガラリと変わり、アップテンポでカッコ良い曲になってます。僕は初めて社会人になった、会社の新人歓迎会でこの新しい「月光仮面は誰でしょう?」を歌って、酒席に居並ぶ、団塊世代から昭和20年代末誕生くらいまでの年代の先輩方が、僕の歌に合わせて一緒に合唱してくれたのですが、これが全部、オリジナルの児童合唱団が歌ってた「月光仮面は誰でしょう?」のメロディーだった。みんなアニメ版「月光仮面」を知らなかったんですねえ。このシーンは何十年も前のコトながらよく憶えてます。

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