「柔道賛歌」



ビデオ録画したPRIDE武士道6を見ました。メインエベントは、現prideヘビー級チャンピオン、ロシアンラストエンペラー、エメリヤエンコヒョードル対日本の達人、高坂剛の試合。僕は、先ず高坂選手は勝てはしないだろうと思っていました。やはり強い、王者ヒョードル。5年近く以前、高坂剛は当時のリングスの中の試合で、ドクターストップのTKOでヒョードルに勝っているんだそうです。pride全戦無敗、負け無し完全王者ヒョードルの過去の唯一つの汚点、高坂選手への負けを払拭するために自ら指名した試合。雪辱成り、氷の皇帝の無敵の強さを証明した。血だるま高坂選手、第二ラウンドには臨めなかった。血だるまでよくぞ耐えた1R10分間。しかし氷の皇帝の異名どうり、最初の顔面に負わせた、目頭の傷を徹底的に攻めた。さすがというか冷酷なプロの氷の皇帝。昔、オリンピックの柔道の試合で、エジプトのラシュワン選手は日本の山下選手の負傷した方の片腕か片足を攻めなかった、というスポーツ美談があるが、そこはプロ、このprideのリングは冷徹な神が支配する。しかし高坂剛もスポーツ選手としてはもうイイ年だろうしなあ。かなり以前のリングスから試合してるからなあ。柔道出身でその寝技関節技には定評があり、アメリカのゲージリング界でも勇名を馳せた事もある、日本人強者だったが。いくら定評のある高度な寝技を使うとはいえ、あの巨体でありながら関節技の魔術師と呼ばれるホドリコノゲイラでさえ破ってしまう、冷徹な怪物ヒョードルだもの、高坂は勝てないよ。予想した通り高坂、いいとこ無し。ヒョードルには小川直也もあっさり負けたし、やっぱヒョードルは群を抜いて強い。です。

PRIDEも新しい選手が続々登場して来てるね。今や、先行のグローバル打撃格闘技K-1よりも人気があるんじゃないかな?PRIDE1て、いったいいつだったっけ?99年か2000年か。かつての高田延彦選手とヒクソングレイシー選手のメインエベントの一戦のキャッチフレーズが、この試合を見たらもう20世紀を終わってもいい、だった。PR-1も一年後の再戦もあっさり高田選手が負けて、その後桜庭選手がホイスグレイシーを破り、やがてオリンピック柔道金メダリスト吉田秀彦がprideのリングに登場する。僕は、先ず七割は見て来ているpride放送番組の試合。始まって以来数年だが、もう、歴史があるよなあ。PRIDE選手の中では、勿論、桜庭さんも好きですが、今では何故か吉田秀彦選手が好きです。外人だったら、テキサスの暴れ馬、ヒースヒーリングかなあ。新日本プロレスからの猪木の秘蔵っ子、藤田さんも好きですよ。小川直也も好きだし。外人のグレイシー一族とかヴァンダレイシウバとかは何か好きじゃないなあ。外人選手って何かあんまり好きな人いないね。K-1だったら、登場時から全盛期までの、精密機械と呼ばれたアーネストホーストが好きだったんだけど。

好きな吉田秀彦さんも、寝技の達人、高坂剛さんも、格闘技のバックボーンは柔道です。小川直也もそうですが総合格闘技のプロになってから、打撃ワザとかいろいろ覚えて来てるけれど、もともと下地が柔道の世界頂上付近レベルのマスターの人達です。今の総合格闘技シーンでめきめき頭角を現して来てるのは、レスリングと柔道の出身者ですね。そのバックグラウンドの上に後で打撃などもろもろ覚えて来ている。無論例外もありますが。ヴアンダレイシウバやミルコクロコップのようなキックボクシング出身の強者もいる。

僕が少年時代、梶原一騎原作の漫画「空手バカ一代」が少年マガジンで大人気で、少年の僕はあの漫画を疑う事無くまるっきり信じていて、物語は全く実話であり誇張など無いと思い込み、世の格闘技では空手が最強だと信じていました。そしてそのお話の実在のモデル大山倍達師範は世界一強い人だと思っていました。当時の梶原一騎さんは漫画原作のスーパースターであり超がいくつも着くような売れっ子作家でした。その梶原さんの描く空手劇画も多く、僕は内容を全部信じていました。しかしそれから何年も経ってから、アメリカのマーシャルアーツと呼ばれるプロ空手の連中がことごとくプロレスラー、アントニオ猪木に負けるのを見て、あれ?おかしいな?と思いました。そして決定的なのは、後年アメリカでブームが起こったアルティメットという何でもありの当時はもう喧嘩の大会。打撃系は強くはなかった。特にブラジル出身のグレイシー柔術には手も足も出ない。空手の猛者が何も出来ずに転げさせられてあっさり絞められて負ける。これは何か、があーーんっ、と大きな鉄鍋で頭を殴られたような、いきなり逆立ち世界になっちゃうような衝撃でしたね。ちなみに当時の「空手バカ一代」が大好きで強くなりたくてたまらなかった少年時代の僕は、空手道場に入門しようと先ずは見学に行き、道場の稽古のその荒々しさを見て、小心少年だった僕は空手の習得を断念しました。まあ、怖くて、止めたっ、と逃げたのですね。そんな僕も後年30歳で空手道場に習いに行き始めるんですけど。

柔道というのは、そもそもやぼったらしくて激しく厳しく練習して汗でめちゃめちゃ汚れて固太りして、しかも格闘技としては弱いという割の合わないスポーツだと思っていました。幼少の頃見たTV番組「姿三四郎」の時は別でしたが、少年時代からずうーっと柔道はむさくるしい練習をハードに続ける割にはあまり強くはなれない格闘技だと思っていて、喧嘩的強さも含む挌闘スポーツとしては何か馬鹿にしていました。こんな事書くと柔道経験のある方々に怒られますが。ひと頃、異種格闘技路線を展開していた当時の新日本プロレス社長アントニオ猪木さんが、オリンピック柔道メダリスト、ウィレムルスカを割合簡単にやっつけちゃったりして、僕の、柔道は強くないイメージは決定的になって来ていました。まあ、それからしばらくして猪木さんが今度はロシアの柔道家に簡単に負けたりするのですが。PRIDEが始まるくらいまで極端な話、柔道最弱空手最強、と思い込んでいたんですね。

実は、柔道とは決して弱い格闘技ではない、と十年位前から解って来ました。喧嘩的強さも、考えてみればアスファルトの路地で投げられたら、致命傷です。安全を考慮しない投げっ放しも出来る訳だし。もともと古来の柔道、柔術には関節技もいっぱいある。日本柔道柔術が原型であり、そこから進化したブラジリアン柔術や、柔道とレスリングを合算して関節技を主体にしたロシアの国技サンボなどは、現在の世界総合格闘技の二大花形の本流です。長い鍛錬を継続して研磨した柔道は、強い!のだと思います。僕は柔道というと、あまり経験がないのでよく解らなかったのですが、柔道を本格的にやった事なんてないし、合気道というのはちょっとかじりましたが、同じ投げるにしろ合気道と柔道とはちょっと違う感じがするので、柔道の強さを肌身に感じてよく解る、というのは持ちませんが、現在の総合格闘技シーンの柔道出身者の活躍ぶりから、その強さは理解できます。勿論、肌身に感じてよく解る、が無いなら、解らせてやろうかと、柔道経験者の方に投げられるのは御免こうむりますが。


という訳で、実は強い柔道の漫画。実は柔道が強い事を証明するように、主人公の少年、巴突進太が柔道修練生として、同じ柔道家や他の異種格闘家と熱闘を繰り広げる、格闘柔道漫画、題名通りの正に柔道賛歌、熱血柔道漫画「柔道賛歌」です。もっとも、少年巴が相手を倒すのはオリジナルの、とても現実にはありえない人間能力無視の大技ですが。漫画作画は往年の漫画実力者、貝塚ひろしさん、原作ストーリーは梶原一騎さん。
あれ?と思いますよね。空手最強を唱えるかのような空手漫画のストーリーを書いてきた作者が、同じ少年漫画の土俵で、今度は柔道最強かの如く書いている。梶原熱血格闘スポーツ漫画では、主人公のやっている格闘スポーツが最終的には一番強い。空手なり、柔道なり、プロレスなり、キックボクシングなり。だから、梶原原作漫画をまんべんなく読めば、決して空手だけが最強ではない、とまあま、解る。ただ、空手漫画は実在の大山倍達師範モデルがどれも登場するので、信憑性が高く、成程空手は最強だ、と思い込みやすい。キックボクシング漫画なら、タイの国技ムエタイが最強と唱えているし、「夕やけ番長」では主人公は喧嘩の天才だから喧嘩だけで最強であるし、「ケンカの聖書」の主人公吉良旭も喧嘩だけでプロレスラー達を吊るし上げてしまう。まあ、雑誌界の娯楽製造業者として面白い熱血スポーツ漫画の作り手、梶原一騎はエンターティナーの仕事をやっているんですね。だから、お話の要は主人公の少年達が、何かスポーツに没入して、逆境の中で苦しみぬいて常人以上の努力を重ねて知恵を使い、何とか栄光を勝ち取る事でしょう。どれもそれが本筋の、多少誇張の激しい青春熱血成長ドラマです。

TV娯楽番組「うたばん」に出ていたマライヤキャリーは何か、ブラジルの中量級強豪格闘家ヴァンダレイシウバに顔がよく似ていた。韓国からの日本語ヒットシンガーBoAちゃんはきれいになった。「うたばん」からではないが、ブリトニースピアーズが妊娠したらしい。芸能ニュースではありませんが、今の中国の反日感情はものすごくなっていますねえ。反日デモも大変だ。中国で一番人気の酒井法子今奥様ノリピー、二番目人気は浜崎あゆみとかに対する思いはどうなんだろうか?やはり嫌い感情に変わったのだろうか?ちょっと前まで日本の芸能人の中国公演が盛んに行われていたみたいだけど、現地の一般大衆の日本人芸能人への思いは反感に変わったのか?興味ある。また、女子十二楽坊の面々は中国の音楽アカデミーのエリート達だからそれなりの知性も見識もあろうが、今回のこの中国国内での事態に対してはどう見ているのか?興味あるなあ。お隣韓国も日本バッシングだし。韓国では、野坂昭如さんの小説が原作のアニメ映画「火垂るの墓」も公開中止になったらしいし。(やっぱ、芸能ネタになってしまった)。僕は、映画「アイアムサム」のサウンドトラックでシェリルクロウ他色々なあちらのミュージシャンがカバーしている全ビートルズ曲のアルバムCDが、欲しくてあちこちのCD販売店を探しているのだが、どこも無い。まあ、注文すれば簡単なのだが、それはしない。

という訳で、「柔道賛歌」と全然関係ない文章がダダダッと続きましたが、本文に戻ります。漫画「柔道賛歌」。面白いですねえ。現在ホーム社文庫で「親子シャチの章」全6巻で出ていますが、面白いから、続けてドドドッと読んでしまいます。貝塚ひろしさんはもう古くから少年漫画を描いている昔からの巨匠です。もう50年代末からの人気作家。だいたいがオリジナルのストーリーで、それは貝塚節とうたわれた熱血ものが主でした。「柔道賛歌」は熱血ものではありますが、珍しく原作付きものです。貝塚節と梶原一騎原作が何かうまくフィットして合っている、成功作ですね。イイ感じでうまく行ってる。

親子修練ものでも、これは同じ梶原さんの「巨人の星」の父親一徹に対して、母巴輝子の我が子へのスパルタ教育もの。父一徹は飛雄馬にだいたい野球のみをスパルタ訓練で仕込みましたが、こちらでは母輝子は突進太に人間形成を教えてゆくふしがある。まあ柔道を教えはしますけど、そちらのスパルタ訓練は元は輝子を仇敵と憎んでいた高校柔道のコーチ砥鎌龍平が引き受けている。まあ、だいたい梶原スポーツ根性漫画ストーリーは、雄姿となるための男の子の修練成長物語ですよね。厳しい修練の後に成るであろう大人の男の形はみんなおんなじイメージが浮かびますね。スポーツ修練を通してやがて理想とする雄雄しい男に成長するであろうというドラマ。そのイメージは画一的な、昔の人達の描くひとつの男性像かな。

これで、ちょっとひっかかるのが、母親離れしない思春期の主人公。愛してやまず尊敬もする完璧な母親の姿から離れることが出来ない、主人公巴突進太。何と、愛する母が柔道コーチ砥鎌龍平と結ばれようとすると、この少年は死を選ぼうとする。こんな雄雄しい男の子の熱血少年が、他の同世代の女の子に惹かれずにただひたすら母親を慕っている。これはやはり問題でしょう。男の子の父親殺し、女の子の母親殺しというものは、思春期には付き物だろううが、殺しというのはあくまでイメージですが、そこから親離れが成されて行く訳で、人間成長には必要なひとつの時期ですよね。異性の親に対する意識も含め、思春期のいろいろな葛藤を経て、本格的自立へと向かう。いわゆるマザコン、ファザコンがいつまでも続いていては、本当の自立には至らない。物語も、結局母輝子は龍平の求婚を断り、子突進太の側にピタリ居続ける。もうそのまんま終わっちまうのだが、早く同世代の恋人見つけてラブラブしなくちゃなあ、と思いますねえ。幼き頃からの密接関係の、母一人子一人の母子家庭の弊害だったんだろうなあ。
という訳で長かったけど、「柔道賛歌」でした。梶原一騎さんにはその以前に、同じような柔道もの作品で「柔道一直線」というものがあります。こちらはTV実写ドラマ放映で人気を博しました。60年代「柔道一直線」、70年代「柔道賛歌」ですね。梶原ストーリー格闘漫画の醍醐味は、何といっても必殺技。「柔道賛歌」にも人間離れした超大技がいくつも出て、楽しいですよ。

このブログへのコメントはmuragonユーザー限定です。